辨 |
ヨモギ属 Artemisia(蒿 hāo 屬)については、ヨモギ属を見よ。 |
訓 |
漢名は、歴史的には因陳(インチン,yīnchén)・因塵(インチン,yīnchén)とも書かれた。
なお、A.frigida・ハイイロヨモギにも白蒿の名がある。 |
李時珍『本草綱目』(ca.1596)の釈名に、陳蔵器の説を引いて、「此れ蒿類なりと雖も、冬を経て死なず、更に旧苗に因りて生ず。故に因陳と名づく」と。 |
『本草和名』白蒿に、「和名之呂与毛岐、一名加波良毛岐」と。茵陳蒿に、「和名比岐与毛岐」と。
『延喜式』茵陳槀に、「ヒキヨモキ」と。
『倭名類聚抄』に、茵陳蒿は「和名比岐与毛木」、菊は「和名加波良与毛木、一云可波良於波岐」、白蒿は「和名之路与毛木、一云加波良与毛岐」と。
『大和本草』茵陳に、「川原ニアリ、故カハラヨモキト云」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』11(1806)に、「茵蔯蒿 カハラヨモギ青蒿黄花蒿ニモコノ名アリ、混ズベカラズ ネズミヨモギ コギ遠州 フナバゝキ藝州 ハマヨモギ加州 イヌヨモギ和州、同名アリ」と。 |
説 |
本州・四国・九州・琉球・朝鮮・臺灣・華東・兩湖・兩廣・山東・河南・陝西・河北・遼寧・ロシア沿海地方・モンゴリア・イルクーツク・パキスタンに分布。
埼玉県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)。 |
誌 |
中国では、カワラヨモギなどの若い苗を乾燥したものを茵蔯(インチン,yīnchén)と呼び薬用にする(〇印は正品)。 『中薬志Ⅲ』pp.161-169 『全国中草葯匯編』上/606-608 『(修訂) 中葯志』IV/524-531
オカニンジン Artemisia anethoides (蒔蘿蒿)
〇カワラヨモギ Artemisia capillaris(茵蔯蒿・白蒿)
イヌフクド Artemisia fauriei(A. haichowensis;海州蒿)
マンシュウアサギリソウ Artemisia frigida(冷蒿・小白蒿・白蒿・剛蒿・茵蔯蒿)
イワヨモギ Artemisia gmelinii(A.sacrorum;白蓮蒿・蚊煙草・鐵杆蒿・萬年蒿・茵蔯蒿)
オトコヨモギ Artemisia japonica(牡蒿)
〇ハマヨモギ Artemisia scoparia(猪毛蒿・濱蒿・臭蒿・東北茵蔯・黄花蒿・絨蒿)
ウラジロヒメイワヨモギ Artemisia stechmanniana(A.sacrorum;
鐵杆蒿・萬年蒿・茵蔯蒿・白蓮蒿)
Artemisia stricta(直莖蒿)
Oxytropis myriophylla(狐尾藻棘豆・多葉棘豆・鷄翔草)
ハナハッカ(オレガノ) Origanum vulgare(牛至・滇香薷・土香薷・滿坡香・五香草)
ヒキヨモギ Siphonostegia chinensis(
陰行草・金鐘茵陳・土茵陳草・角茵陳・罐兒茶・北劉奇奴)
日本では、生薬インチンコウは カワラヨモギの頭花である(第十八改正日本薬局方)。 |